2023年7月16日〜19日でピレネー山脈を3泊4日で縦走してきました。
ピレネー山脈について
プラデラデオルデサはスペイン・アラゴン州に位置する国立公園。
高い岩壁に覆われたオルデサ溪谷は世界遺産にも登録されています。
ピレネー山脈のテント泊のルール
・テント設営可能なのは日没1時間前〜日出1時間後
・オルデサ溪谷エリアはゴリッツ小屋のみビバーク(テント泊)可能(その辺でテント泊するのはNG)
・オルデサ溪谷エリア以外はエリアでは設営跡地もたくさんあったので、適宜ビバークはokみたいです
※テント泊はビバークと呼ばれています
日本の登山との違い
・登山道の目印は印ではなく、石が積まれているのが目印(印あるところもある)
・日没が遅い(夏期は21時ごろでも全然明るい)
・行動開始時間が遅い。晩御飯19時、朝ご飯6時半〜など
言語事情
・山間部に入るにつれ英語は通じなくなって行きます。ただ、小屋の方は1人くらいは英語喋れる方いるので困ることはなかったです。もし通じなくても誰かしら英語喋れるので通訳してもらえばいいと思います。
ルート
今回はピレネー山脈縦走ということで3泊4日(山中2泊3日)でトルラからローランの裂け目を越えてトルラに戻ってくる周回ルートで回りました。
komoot GPSログ:https://www.komoot.com/ja-jp/tour/1220839902
1日目
トルラ→ブハルエロ 小屋泊(テント泊も可)
2日目
ブハルエロ→スペインからフランスへ→サラデッツ小屋 テント泊
3日目
サラデッツ→ローランの裂け目国境越え(フランスからスペインへ)→ゴリッツ小屋 テント泊
4日目
ゴリッツ→オルデサ溪谷→プラデラデオルデサ→トルラ
トルラまでのアクセス
・レンタカー(駐車場有)
・バス
バルセロナ→バルバストロ→トルラ
※バルバストロからトルラは1日2本
バルセロナ→サラゴサ→サビニャニゴ→トルラ
※サビニャニーゴからトルラは1日1本 ★今回はアインサに立ち寄ってからトルラに行きました
山行の詳細
1日目(トルラ→ブハルエロ)
トルラ→ブハルエロ 小屋泊
距離・10km、標高差190m
トルラのバス停に到着すると、目の前に観光案内所があります。観光案内所でマップもらえます。
トルラからブハルエロまでは車道歩きとなります。
プラデラデオルデサ行きのバスで途中5km地点くらいまでは同じ道なので交渉すれば乗せてくれるかもしれないですが、タクシー等もなかったので基本歩きとなると思います。上高地から横尾までの道と思って歩きました。
※山道にサンティアゴ巡礼路の一つも整備されているみたいでした。車道は砂埃がすごかったので、山中歩きもありだと思います。
ブハルエロ小屋
・シャワーあり(シャンプー等なし、ドライヤーなし)
・軽食買える(パン、飲み物)売店あり
・水あり
・キャンプ場一面芝生でとても快適そうだった
※キャンプ場にもシャワーあり
・英語ok
予約方法
・公式サイトから。
https://www.refugiodebujaruelo.com/
宿泊費
ドミトリー
・65ユーロ(12ユーロ前払い)
※朝晩付き
ご飯
・夜ご飯21時
・朝ごはん7時
夜ご飯の前に予約しておけば翌日ピクニック(軽食)を8ユーロで注文できます。
※基本的に日が長いので日本の食事時間+2時間くらいがスペインの一般的な食事時間です。
ランチ14時〜、ディナー21時〜など
2日目(ブハルエロ→サラデッツ)
2日目はいよいよブハルエロの橋を渡ってスペインからフランスの国境を越え、サラデッツ小屋を目指します。
序盤はいきなり急登から始まりますが登山道両脇にたくさんのお花が広がりテンション上がります。
つづら折りの坂を登ると突然広い草原が広がり左手にPic entre les portsのお目見えです。
右側に巻いて、登り切った先がフランスとの国境になります。
フランスとの国境に出た瞬間、フランス側のピレネー山脈が一望できます。フランス側の駐車場からは30分ほどで来れるそう。
ここからは最高ロード。気持ちのいい稜線歩きが続いて全然進めなくなります。面白いことにスペインからフランスへ国境を越えた地点からみなさん挨拶が「hola(オラ!)」から「ボンジュール」に変わりました。郷に入ったら郷に従えということでしょうか(笑)
滝登りもあります。ルートはざっくりでしか書いてないので、自分で通りやすいところ見つける必要ありです。まぁ、普通に渡れます。
急登を登り切ると、突然サラデッツ小屋とローランの裂け目が現れます。
大迫力のガヴァルニー渓谷も姿を現します。
サラデッツ小屋 テント泊
ローランの裂け目直下の山小屋、ガヴァルニー渓谷も見下ろすことができるテント場。
・シャワーなし
・軽食ほぼなし(チョコとかは販売あり)
・水あり
・トイレあり(ペーパーなし)
・キャンプ場整備されてる
・英語ok
予約方法
メールで直接問い合わせました。(食事不要であれば予約不要)
メールアドレス:refugebrechederoland@ffcam.fr
※泊まる日と、朝ごはんと晩御飯予約したい旨記載の上問い合わせ
小屋泊は普通にネットから予約できます:https://refugebrechederoland.ffcam.fr/
宿泊費
・0ユーロ
・朝晩ご飯 32ユーロ
ご飯
晩御飯 18時半(という名の19時w時間にルーズなのはご愛嬌
朝ごはん 6時半〜7時15分
サラデッツ小屋では同じテーブルの人英語喋れる人1人もいなくて残念、、
でも大体みんな話すことは同じで今日どこいったー?明日どこいくー?なので、地図みながら楽しくご飯いただきました。
そしてなんとなんと、ここで日本人に遭遇!!
アメリカの大学に通ってる大学生で夏休みにフランスにきているということでした。
この山行で日本人に会ったのは後にも先にも彼だけでした。なんなら、アジア人も他に1人も会わなかったです。
なんかのご縁ですね〜なんて言って楽しくおしゃべりしてたらあたりもすっかり暗くなって、いざ、星撮りです。
ちょうどサラデッツ小屋からだったら南側にローランの裂け目があるのでもしかしてもしかすると天の川綺麗に入るんじゃない?新月期だし。という淡い期待の元星撮影フル装備整えてタイムラプス待機。
大大大大大勝利⭐︎
びっくりするくらい空が暗くて満天の星空が広がっていて、全く寝れませんでした。
翌日に響くと分かっていながら、、全く寝れませんでした。最高すぎる♡
3日目(サラデッツ→ゴリッツ)
3日目はいよいよ、今回の目玉の一つ、ローランの裂け目を越えてスペインへ
ローランの裂け目までは少し雪渓が残っていますが、チェーンスパイクも要らない程度です。
(少し早い時期の場合必要な可能性もあり)
裂け目を越えるとスペイン側の景色が一望できます。
ゴリッツ小屋までは稜線ルートが谷側ルートの2つがあります。
今回は稜線ルートで行きました。ローランの裂け目から直接モンテペルディドに登る場合もこちらのルートとなります。
一部鎖場の部分があったのですが、足場もしっかりあるので問題なく通れる道です。
ピレネーの独特なカルスト地形の景色が見れて本当に感動しました。
ゴリッツ小屋 テント泊
オルデサ溪谷の上部に位置するゴリッツ小屋。
モンテペルディドに登る場合の出発地にもなっています。
・シャワーあり(4分) ※受付の時に銀色のコイン的なのを渡されるのでそれをシャワー室で入れます
・軽食あり(売店充実)
・水あり(シャワールームの隣)
・トイレあり(ペーパーあり)
・キャンプ場芝生
・小屋内登山靴NGのため、サンダル必須
・英語ok
こちらはテントレンタル文化があるみたいで、予約していたらテントをレンタルして外で泊まれるみたいでした。
ここでもピレネールールで日没1時間前まではテント立てれないので、マットひいて休憩です
予約方法
・公式サイトより:https://www.goriz.es/
・早めの予約必須(人気のテント場なので7月8月はかなり早く予約が埋まります。)
宿泊費
・0ユーロ
・晩ご飯とピクニック:49ユーロ
ご飯
晩御飯 19時
※翌日早めに出ようと思っていたので朝ごはんはなしで、ピクニックを頼みました(当日受付で明日のピクニック予約したいですと伝えたらok)
この日は終始穏やかな気候で、このまま夜も満天の星空がかな、、と思っていたら突然の雷雨。
遠くの方で雷鳴が鳴り響き、心配していた矢先、一気に暴風雷雨がテント直撃。鳴り響く暴風と雷鳴の轟音。念の為小屋に避難。
テント泊の方はみなさんゾロゾロ避難されて、小屋の中にマットひいて寝てました。
1時間ほどで雷雨は収まり、私はテントに戻りました。モンベルステラリッジ余裕の耐久性です。
4日目(ゴリッツ→トルラ)
ゴリッツ小屋からオルデサ渓谷を経てプラデラ・デ・オルデサに下山していきます。
この日も前日の雷雨の残り雨雲が空に広がりぐずついた天気。電波も入らず天気がわからなかったので早めに降りることに。
大きな岩壁に囲まれた世界遺産、オルデサ渓谷を下って行きます。
最終日のルートは人も多く、日帰りでオルデサ溪谷を見に行くかたも多かったです。
1番楽しみにしていたオルデサ溪谷のマメ科の黄色い花、エキノスパルトゥム・ホリドゥム(Echinospartum horridum)の絨毯。(7月中旬〜8月見頃)
上から見ても下から見ても山肌一面真っ黄色で、ピレネーならではの景色でした。
これを青空で撮影したかった、、!!いつかまたリベンジ!!
朝一は曇り空でしたが11時過ぎごろから晴れ間が見えはじめ、プラデラでオルデサに下山し頃には快晴。
この旅9日間ずっとそんな天気だったので、ピレネーの天気的に朝曇ってても昼から晴れやすいという特徴があると思います。
プラデラ・デ・オルデサ→トルラのシャトルバス
・15分に1本
・8時から20時
・3ユーロ(売店で購入)
スペインの電波事情
トルラに到着してから、家族に下山報告したかったのですが、行きは電波通じたのに帰りは何故か通じず、、
観光案内所の方に聞くと、「今の時間は電波通じないの〜」とのこと。(そんなことあるー!?)
基本的に山間部は電波ないものだと思って事前にバスの時間等チェックしておく必要があります。
(トルラ→サビニャニーゴは1日1本、トルラ→バルバストロは1日2本)
振り返り
ルートについて
・周回ルートになるので今回のルートはレンタカーでトルラオルデサに車を止めて、回るのも可能。
・サラデッツ小屋からフランス側の世界遺産、ガヴァルニーに降りる縦走も可能。
※下調べでは交通手段がなく断念していたが、サラデッツで会った日本人の方が言うにはガヴァルニーからトゥールーズまでバスででいるということ。
・3日目、ローランの裂け目を越えてからモンテペルディドに登るルートもあり(前日の寝不足もありバテてしまい今回は断念)
難易度について
・2日目の滝越えと3日目のトラバースの鎖場くらい。普通に歩けば行けるレベルだし、他にもたくさん登山客います
・旅行英会話程度の英語喋れれば小屋でもなんとかなります
・ただ、天候が悪くなると遮るものが何もないので一気に難易度と危険度は上がります。
まとめ
海外の山で本格的にテント持って縦走するのは今回が初めて。色々緊張もあり、下調べだけは自分が調べられる限り調べ尽くしました。
4日間天候もほぼ安定しており(視界が悪く登山道わからない)とかなく予期していなかったハプニングとかもなく終えれてよかったです。
縦走のハイライトは2日目の夜、ローランの裂け目を突き抜ける天の川を撮影できたことかなと思います。少ない情報の中で自分の想定していた絵が撮れたことが何より嬉しかったです。